手術実施数からは見えない「確かな医療の質と配慮」
日本人は他の民族と比較すると尿管が狭い傾向があります。そのため、当院では患者さんの痛みと身体的ダメージを最小限に抑えるため、使用する「道具の細さ」に徹底的にこだわり抜いています。
一般的に広く使用されている内視鏡は、再使用(消毒・滅菌)を前提としているため構造上太くなりやすいのが特徴です(一般径:2.65〜2.85mm)。
これに対し、当院で使用している尿管鏡は全て単回使用(ディスポーザブル)のものです。消毒用の余計な構造が不要なため、先端から根元まで均一に極めて細い「2.5mm」の均一な極細構造を実現しています。
さらに、順次導入を進めている最新鋭の「6Fr(外径約2.0mm)軟性尿管鏡」は、世界で最も細い内視鏡であり、これまでの治療が困難だった細い尿管の方でも、安全・確実な治療を可能にしています。
手術時に内視鏡を通すためのガイド筒(尿管アクセスシース:UAS)の太さも極限まで細くしています。
これまでの標準的なUASは13〜14Fr(約4.33〜4.67mm)あり、日本人の標準尿管(内腔約2〜3mm)よりも太いため、術後は必ず尿管を保護するためのストロー状の管(尿管ステント)を長期にわたり留置する必要があり、これが術後の強い不快感や痛みの原因となっていました。
当院では、内視鏡の細径化に伴い、極細の8.5/10Fr(外径3.3mm)のUASの組み合わせが可能になりました。尿管へのダメージが最小限になるため、身体条件が整えば、これまで必須とされていた「術後の尿管ステント留置」を不要にする(ステントフリー)ことを目指して治療を進めています。
フレンチはカテーテルなどの外径を示す単位です(1Fr ≒ 0.33mm)。
| サイズ | 直径(外径) | 主な位置付け |
|---|---|---|
| 6 Fr | 約 2.00 mm | 当院導入の世界最細尿管鏡 |
| 10 Fr | 約 3.33 mm | 当院の極細UAS(ステント不要化へ) |
| 12 Fr | 4.00 mm | 当院の通常UAS(大きな結石用) |
| 13〜14 Fr | 4.33〜4.67 mm | 一般的な標準UAS |
一般的に、内視鏡手術の後は尿道カテーテル(おしっこの管)を入れっぱなしで一晩過ごすのが普通でした。
しかし、あの術後の「何とも言えない不快感・痛み・尿意切迫感」を解消するため、当院は挑戦を続けています。
当センターでは、TUL(経尿道的尿路砕石術)において、手術直後から自分で安全にトイレ歩行ができる若い世代の患者様を対象に、尿道カテーテルを留置せずにそのまま経過を見る「尿道カテーテルフリー」を積極的に実施しています。
日本で得られる最も細い内視鏡デバイスを使用し、熟練した専門医が尿道や尿管への接触刺激を極限まで抑えて愛護的に手術を行うからこそ実現できる、患者様ファーストの先進的な医療アプローチです。
通常、20mmを超える巨大な結石では、背中から腎臓に直接細い穴を開けてアプローチする手術を行います。従来の術式では腎臓を大きく動かすため出血や痛みが伴いました。
当院のECIRSは、尿道からの内視鏡と背中からの内視鏡を同時に併用し、腎臓の中を隅々までモニターで目視確認しながら行うため、腎臓を無駄に傷つけず、出血のリスクを極めて低く抑えられます。さらに、穿刺(穴を開ける)の際には血管が非常によく見える超音波機能を使用しており、術後の出血を極力防ぐことで、術後に留置するドレーンチューブ自体をなくしたり減らしたりする工夫をして、術後の激痛を劇的に減らしています。
いくら体に優しい内視鏡手術でも、結石が取りきれずに「2回、3回と手術を繰り返す」ことになっては、患者さんの身体的、社会的(仕事や入院費用)な負担が倍増してしまいます。当院は「1回での完結」にこだわります。
当院で実施している内視鏡的結石手術は、尿管狭窄などの物理的にどうしても実施困難な特殊例を除き、数ミリの小さなものから20mm前後の比較的大きな結石まで、ほとんどすべて(99.5%以上)の患者様が、わずか1回の手術で安全に治療を完了して退院されています。
手術時間も極めて短く、通常30分〜60分以内で手術が終了します。手術時間が短いことは、患者さんの心臓や肺への麻酔の負担を大幅に軽減することに直結します。
20mmを超える非常に大きな巨大結石(通常は複数回に分けると言われるサイズ)であっても、事前に徹底的なシミュレーション計画を立てることで、90分以内に1回で破砕・回収を完了できるよう体制を整えています。
「結石が大きすぎる」「高齢だから手術に耐えられない」「血をサラサラにする薬を飲んでいるから治療できない」と言われて治療を諦めていませんか?当院ではそのような患者様に対しても安全に対応できる治療体制を整えています。
通常、出血のリスクを避けるために内視鏡手術の数日前から血液をサラサラにするお薬(抗血小板薬や抗凝固薬)を休薬する必要がありますが、脳梗塞や心疾患の再発リスクなど、休薬自体が命に関わる方もいます。
当センターでは、極細の道具選定と高度な止血技術、および総合病院としての内科的・全身管理連携により、お薬を継続して内服した状態のままでも安全に内視鏡手術(TULやECIRS)を実施できる場合があります。
尿路結石の手術で最も注意すべき重篤な合併症は、尿管を刺激して起きる細菌感染、および血圧低下を伴う命に関わる感染症「敗血症」です。
一般的な論文データでは、術後の敗血症発症率はTULで0.5〜2.0%、ECIRSでは2.0〜7.0%に及ぶとされています。
しかし、当センターが開設されて以降、現在までに行われたすべての尿路内視鏡手術において、術後に敗血症を発症した患者様は1人もいらっしゃいません(発症率 0.0%)。 水流の徹底的な圧力管理と徹底した周術期感染予防策がこの安全性を支えています。
ご高齢であること、または寝たきり状態であるなどの理由で治療を断られた患者様に対しても、当院では患者さんの体力や心肺機能に合わせ、局所的な処置から極細内視鏡による低侵襲手術まで、積極的なアプローチを安全に検討し、痛みと不快感を速やかに取り除くお手伝いをしています(2025年度に90歳以上で内視鏡的結石治療をお受けいただいた実績も豊富にございます)。
近年、機器の維持管理コストなどの問題からESWL(体外衝撃波)装置を廃止する病院が増加しています。しかし当院では、患者様にとってベストな治療を提供するため、ESWL機器の維持を継続し、すべての治療法を自施設で完結できる環境を守り続けています。
かつては体に優しい結石破砕術の代表だったESWLですが、内視鏡の細径化に伴い、現在ではより確実性の高い内視鏡手術(TUL)の実施数が全国的に増加しています。2014年に実施数が逆転して以降、ESWLの実施数は減少傾向にあり、高額な維持費用の問題から装置自体を撤廃する施設も少なくありません。
しかし、入院を必要としない日帰りの治療が望ましい場合など、患者様の身体的・社会的状況によっては、依然としてESWLがベストな選択肢となるケースが確実に存在します。当院では「患者様ファースト」の理念のもと、他院に頼ることなく外来での日帰りESWLを行える体制を大切に維持し続けています。
当センターには、ESWL(体外衝撃波破砕術)、TUL(経尿道的尿路結石除去術)、ECIRS(経皮・経尿道的同時内視鏡手術)に必要なすべての高度な設備と技術が揃っています。
一つの医療機関ですべての選択肢を提供できるため、「自院に設備がないから特定の治療法に誘導する」といった偏りが一切生じません。お体の状態、結石の大きさや位置、およびライフスタイルに合わせて、最も安全で確実な治療法を柔軟に、かつ客観的にご提案することが可能です。
当院では、結石特有 of 激しい痛み(尿管結石発作)に苦しむ患者様を昼夜問わず受け入れるため「尿路結石24時間センター」を開設しております。
夜間や休日に救急受診された際は、まずは救急外来の担当医が迅速に痛みの緩和(鎮痛処置)と適切な診断を行います。痛みを落ち着かせた後、結石治療の専門医による外来受診や、内視鏡手術・ESWLなどの根本的な治療へとシームレスに引き継ぐ体制を整えています。
尿路結石は、5年で45%、10年で60%と、極めて再発率の高い「慢性疾患(生涯にわたる長期的な健康管理が必要な病気)」です。ただ砕いて終わりではなく、私たちは再発予防まで責任を持って並走します。